革新的ソフトウェア企業の作り方

『Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方』を読了。

ソフトウェアのビジネス的側面について学びたいプログラマなら読んで損は無い。
例えば、私のような、こんな人。

p.xviii

そこら中のギークたちがソフトウェア会社を立ち上げるようになり、
そしてすぐに、会社をやるというのはコードを書く以外にもすることが
たくさんあるのだと気付くことになった。彼らはみんな、私が頭から
突っ込んだのと同じ問題に直面している。私は大学のコンピュータ科学科を
出た。落としてしまった授業もあるし、聞き逃した話もあったことと思うが、
しかしデータ構造について教えてくれた先生がファイナンスマーケティング
会社法についてカバーしていなかったのは確かだ。

Eric Sink は、こんな人。

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Eric Sinkの言っていることは全部正しい。
Ericの言うとおりにするといい。
そうすれば、まずいことには、まずならないはずだ!
―Joel Spolsky 大推薦

著者のEric Sinkは、ソフトウェア業界のアカデミー賞と誉れ高いJolt Awardで2008年製品部門賞を受賞したSourceGear LLC社の創業者である。創業からのたったの10年でここまで登りつめた理由はどこにあるのか?
今もなお同社で現役のプログラマとして活躍中の著者が、自社製品を認めてもらい、より多くの人に購入してもらうにはどうしたらよいか?という問いにじっくりと取り組んできた。その経験から導きだされた最適解の集大成が本書である。
開発者のみならず、ソフトウェア業界で働く営業マン、起業家、経営者、すべての人にとって、仕事に役立つ知識やヒントが満載!

Eric Sink on the Business of Software

目次
日本語版への序文
訳者序文
序文
著者について
謝辞
イントロダクション

第1部 起業家

第1章 小さなISVについて
第2章 石の樽に不平をこぼす
第3章 自分の会社を始める
第4章 ギークのためのファイナンス入門
第5章 マイクロISVの探求
第6章 私のマイクロISVの第一報
第7章 もっと失敗しよう

第2部 人

第8章 小さなISVに必要なのはプログラマではなく開発者
第9章 ギークの支配とMBAの戯言
第10章 採用の危険
第11章 すごいハッカー != すごい社員
第12章 「ソフトウェアにおける高音域」に対するコメント
第13章 キャリア計算

第3部 マーケティング

第14章 マイクロISVのための製品アイデアを探す
第15章 マーケティングは後処理ではない
第16章 競合を選ぶ
第17章 年相応に振る舞う
第18章 ギークの小手
第19章 建てる場所に注意
第20章 ゲームは進む
第21章 展示会に行こう
第22章 小さなISVのための雑誌広告掲載ガイド

第4部 セールス

第23章 透明性の信条
第24章 製品価格付けの初歩
第25章 ギャップを埋める パート1
第26章 ギャップを埋める パート2

エピローグ あとはただやるだけ

例によって、気になった点を覚書。

マイクロ ISV

p.p. vi-vii

それならどんな製品を作ったらいいのだろうか?
(中略)
1.あなたの製品は、1つ大きな点で違っている必要がある。
(中略)
2.あなたの製品は、完全に違うものであってはならない。
(中略)
3.エキサイティングであることと収入とはしばしば逆相関している。

  • 大手が参入できないニッチなマーケットセグメント(垂直市場)を狙うこと (p.9, p.19)
  • 自分を知る (p.14)
  • 失敗したときのプランを用意する (背負いきれない失敗は避ける) (p.17)
  • 製品を何にするか決める (アイデアに価値はない) (p.18)
  • シードキャピタルを探す (お気に入りの解法はコンサルティング会社として始め、あとで ISV へと進む) (p.24)
  • 純粋に財務的な観点からすると、オープンソースはものごとを難しくする (オープンソースコモディティ) (p.34)
  • もっと失敗しよう (p.59)
    • 固定価格のプロジェクトには注意しよう
    • 先端的すぎる技術には用心しよう
    • 競合のいないマーケットは存在しない
    • 小さな ISV はアプリケーションを作るべきであり、プラットフォームを作ろうとはしないことだ
  • 小さな ISV はプログラマではなく開発者を雇うべき (p.72, p.95)
  • ソフトウェア会社はトップにプログラマがいるのでない限り成功しない (p.85)

最高の中の最高 (p.99)

  • この候補者はチームに他の誰も持っていないものをもたらすだろうか?
  • この候補者は学び続ける人だろうか?
  • この候補者は自分の弱さに気付いており、それについて気兼ねなく議論することができるだろうか?
  • この候補者は多才で、製品を成功させるために「必要なことは何でも」する用意があるだろうか?
  • この候補者はあの「10Xプログラマ」の 1人だろうか?
  • この候補者は名門のコンピュータサイエンス学科を出ているか?
  • 博士号を持つ候補者であれば、その人が「パッケージソフト資質」をも併せ持つまれな人であることを示すものがあるか?
  • この候補者はパッケージソフトの開発チームでの経験を持っているか?
  • この候補者は良いコードを書くか?
  • この候補者は余暇にコードを書くくらい、プログラミングが好きか?

学び続けること

Eric は、技術者として学び続けることの重要性を強調している。

キャリア計算 (p.114)

私はたくさんの開発者を知っており、一緒に働いてきたが、素晴らしいキャリアを築いている人と
その他の人をはっきり分けているものがあるのに気が付いた。際立ったキャリアを持つ開発者は、
大多数の人がわかっていない秘密を理解している。すなわち

1次導関数に集中すること。

1次導関数の説明は、本書を参照して欲しい。

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